大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)2319号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔編注〕 新一朗の過失二〇パーセント。実母別井キヨ子と加害者との間では示談が成立。

〔判決理由〕一、養育費の控除

ところで、死亡の遺族が死亡による消極的損害の賠償を請求する場合の理論構成としては、(イ)扶養請求権の侵害という直接損害として構成する方法と(ロ)逸失利益の喪失による損害賠償請求権を死者が取得しこれを遺族が相続するものとする方法とがあるが、(イ)の方法によれば勿論のこと、(ロ)の方法による場合も、生命侵害それ自体が損害であり、賠償請求者は遺族自身であり、(ロ)の方法は賠償額算定の一手段である、と解すべきであるから、死亡という同一の原因により、遺族は逸失利益喪失による損害賠償請求権を取得すると共に、養育等の出費を免れるものといい得るのであり、したがつて、損益相殺の法理を適用すべきことになる。

そこで、その額が問題となるが、諸般の事情を勘案し、訴外新一朗の養育費、教育費は成人までの年月を平均して月額五〇〇〇円、年額にして六万円とみるのが相当である。二〇歳に達するまでの一二年間の総額から年五分の割合による中間利息を年毎にホフマン式計算法によつて控除すると、

60000円×9.21511077=552906円となる。そして、原告の負担割合は他に特段の事情のない本件においては二分の一とみるのが相当であるから、控除すべき額は、二七万六四五三円となる。

二、慰藉料

<証拠>によれば、新一朗は原告と別井キヨ子との間に昭和三三年二月七日に出生し、その後二年程経た頃原告が事業に失敗したことから原告と別井キヨ子との関係は円満を欠くに至り、別井キヨ子は新一朗を残して実家へ帰つてしまつたため、昭和三六年頃までは原告と原告の父とで新一朗を養育していたが、岩井鉄夫・福江夫妻が暫く預つてもよいと申し出たので預つたところ、岩井夫妻は新一朗を養子としたい気持を懐くに至り、養子縁組の話をしたが未だ法律上の手続をしない間に、本件事故で新一朗が死亡したこと、岩井夫妻としては法律上養親となつていないため原告が実質的には岩井夫妻と原告の代表として本件訴訟を提起するに至つたことが認められ、右事実と本件事故の態様その他諸般の事情を総合勘案すれば、原告の精神的苦痛を慰藉すべき金額は、一二〇万円を以て相当と認める。(篠田省二)

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